クラウンとして仕事を始めたばかりの頃(ン十年前)、よく言われた。
「テキトーににぎやかしてくれればいいよー」
その度に思った(じゃ、あなたがやれば?)
この「テキトー」は、適当でも適度という意味でも、ない。
お手軽にちょちょいと、の意味で、「私はあなたのパフォーマンスに興味も感心もないけれど、面倒はかけないでね」というコトだ。
火や水は使うな、汚すな、怪我などもってのほか。
大きすぎる小道具やアテンドが必要な細かいタイミングやメンバー構成はやめてくれ。
私は仕事で忙しいのだから、テキトーにやっちゃって。
ちょっと賑わいがあるように見えればそれでいいわけ、だってピエロって「そういうジャンル」でしょ?
趣味の延長で、派手な衣装とメイクと赤い鼻をつければ誰にでもできる「ピエロ」ーそれが、ン十年前のイベント界の常識で、そんな「あたりまえの範囲の中」で行えるクラウンが「良い」(使い勝手が良い)とされた。
果たして、今はどうなんだろう?
「クラウン」と意固地なぼど言い張ってきたのは、それが正しい呼称だから、という理由だけじゃなく、そんな常識から離れたかった、ということもある。
一度記憶したものをひっくり返すことは、本当に難しい。
クラウン文化が生まれたヨーロッパでは、クラウンの卵を大切に扱う。4年以上の時間をかけて丁寧に学習させ、その過程で才能を開花させたクラウンたちは、オペラやバレエのプリンシパルと変わらないステイタスを与えられる。
だから、たとえステイタスが無くても、かの国々ではクラウンは「宝物」のように扱われる。
そんな環境が、クラウンたち自身を「アーティスト」として自覚させるのかもしれない。
彼らの創作への熱量と学びの継続には、度々驚かされた。
30分のショーの仕込みに1日半?
この大きな道具、どこにしまっとくの⁉
失礼すぎないか?このギャグー‥
水浸しですけどー⁉
「ちょっと賑やかしておいて」ーじゃ、すまないレベル(笑)
そう、クラウンは非日常な存在。
さまざまな境界を越え、あらゆるボーダーに挑戦する。
クラウンたちにとって、ダイバーシティもSDG’sもずっとずっと昔に行ってきたことのリニューアル用語。
「テキトーに賑やかすなんて、もったいない!」
クラウンは、「一期一会の出会い」の素晴らしさ、豊かさを共有したいのだ。
大勢の感動もたったひとりの喜びも、等しく貴重だからー
空が青いのも
花が咲くのも
湧き水が美味しいのも
あの子の笑顔も
そう、ぜんぶ、愛おしいのだー
だから、やってみて欲しい。
テキトーな賑やかししか想像できないならー
全速力で駆け込んでくる名前も知らない子どもを抱きしめるーなんて事を。
【クラウンって…】テキトーににぎやかしてーだと?ほほぉ…

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