劇場の新作公演は10年ぶりくらいだったんじゃないだろうか…
ライブも楽しいけれど、やっぱり劇場の空間の広がりは、心地よい。
「余白」
観客と表現者が共有する「感覚」のためにも、この空間はとっても重要。
この余白が共感で満たされたとき、作品はようやく本来の形になるんだと思う。

作品は、ジャグリングやダンスやマジック、歌をふんだんに散りばめたエンターテインメントだけれど、一番観て欲しいのは「物語り」の部分。それがオープンセサミの「劇場作品」の特徴だから。

この「物語り」を運ぶのは、主役の「さやか」さんの役割。
さやかさんとはそれこそ18年前に同じ舞台に上がったのがきっかけで、時々、セサミのライブにも出演してもらってきた。けれど、今回のような複雑なクラウニングや、細部まで決められた小道具の取り扱い、衣装の早替えやさまざまなきっかけが冒頭から最後まであるというプレッシャー。
最後の稽古で大きな変更もあって、本番までありえない緊張感にさらされていたはずだ…。

そんな本番をお客様の反応が支えてくれた。温かかった。笑い声があちこちで弾け、惜しみない拍手があった。後半の歌のシーンでは、会場のあちこちからすすり泣きが聴こえてきて、演じ手は影響されないように必死なほどー。

サイレント・コメディなのだけれど、ギャグによっては喋るし、歌はもちろん歌詞がある。無声映画の字幕替わりに、ラジオなどで状況の説明を行っている部分もある。とはいえ、通常の演劇に比べると言葉による表現は一部といえる。

それでも3人の会話は確実に観客の脳内で構成されていく。演じる側の「全身」での表現と観客の感受性が繋がる瞬間は最高に心地よい。こどもはこどもなりに、大人はおとななりにーだから、笑うポイントは少しずつ違うのだけれど、そこがまたいい。

休憩も含んで120分ほどの作品。当初はこどもたちの集中力を心配もしたが、歓声をあげながら最後まで前のめりで見ていてくれた。

終演後のお見送りタイムは、雨の予報もあったけれど、お天気も味方してくれたのか、公演中は最後まで青い空が広がっていた。南アルプスの山々が見下ろす劇場のエントランスでお客さまと握手し、ハグし、手を振り、再会を願いながらお別れする。まるで故郷に来たようだー

口々に感想を言ってくれることがまた嬉しい。
「人生を感じたよ」「笑いながら泣いちゃった!」「こんな世界があるなんて・・・」
「まだ夢の中にいるみたい♪」「再演はいつ?」「友だちもっと連れて来ればよかった!」「次の作品が楽しみ♡」etc…
どんなにどんなに頑張っても、集中していても、いつも課題が残る。もっとできたはずーという感覚は30年以上やっていても無くならない。だから、終演後のお客様の温かな労いは、一層ココロに沁みる。
筋肉痛に軋む脚を支えてくれる。

30年以上かけて分かったのは、強い人間なんていないーってこと。自信はあっというまに吹き飛び、後悔は消えず、間違える時は間違える…。
だからこそ、ゆとりやユーモアが必要で、常に余白を残しておくことが大切なんだと思う。

クラウンの世界は、そういう「余白」が機転となり、どんでん返しとなる表現芸術だ。悲劇は喜劇に、喜劇は皮肉にー。そこには勧善懲悪はなく、正解も間違いもない。ただ、「幸せでありたい」という素直な願望が、クラウンたちを困らせ、失敗させ、成長させていく。
ああ、そのまんま、我が人生(笑)…
今回の公演は動員数を見れば、主催の森の劇場さまのおかげで「成功」と言って良い状況だ。
両日ともほぼ満席だったし、お客様からも大好評だった。カーテンコールはセサミでは珍しくトリプルだった。
でも、これは、ほんとうにほんとうに、森の劇場さまの踏ん張りと、その周囲の皆さまの応援があったからこそ!!小道具類も、担当してくださった方のそれぞれの力量が素晴らしく、舞台の背景をがっつり支えてくれた。

音響、照明、舞台監督、SEオペ、はさすがのプロフェッショナリズムで完成度をぐいぐいひっぱりあげてくれた。

当日のお手伝いスタッフ、稽古からつきあってくれた裏方クルーの心地よくお仕事させてくれる気遣いがありがたかった。
企画の段階で、時間も資金も足りなかったので、「あきらめようか」と考えたことが正直何度もあった。それでも、たくさんの奇跡が重なって、本番を迎えられた。
それは紛れもなく、「劇場公演をやりたい」という出演者と制作者のやる気が呼び込んだものだろう。
コロナ後の新作公演を南アルプスの山々が守ってくれたように思う。

最後に、関係者の皆さまの献身と友情に感謝します。
ご来場くださったみなさまと、遠方から駆けつけてくれたファンのみんなと、参加できなかったけれど応援してくれた皆様に、尊敬と愛をこめてーありがとうございました!!!
アフタヌーンティーはこれにて終演です(感涙)。

以下、主催「森の劇場」さまからのお願いですっ!
今回の、「オーセンティック劇場体験普及事業」が今後も続くか否かは、お客さまのご感想にかかっております!是非、アンケートへのご記入をお願いいたします♡


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