13名のクラウンで取り組んだ劇場公演が終了した。照明・音響・舞台のテクニカルを含めて総勢32名のチーム。
それぞれの熱い思いがより合わさった舞台は終始、観客の温かい拍手と笑い声に包まれて、2時間の内容を乗り切った。
はじまりは3か月ほど前、参加者のオーディションからスタートした。既に安定感のある作品もいくつかはあったけれど、多くは輪郭の曖昧さが目立った。
参加者の作品を並べ、手を入れ、アイディアを足していくと、不思議なほど明確に物語が浮かび上がった。不安になどなる時間もなく、作品の全体像が完成した。
が、たった一つ、課題があった。今までよりレベル上がるーということ。つまり、稽古でそれを参加者に求めなくてはならない。さて、全員、ついて来られるだろうか???
稽古がスタートするにあたって、参加者全員に伝えた。
「観客に褒められる作品を創るつもりはありません。彼らを驚かせる公演にしましょう。」
この時、メンバーの眼の奥がキラリと光った(気がした)。不安な表情がこの時から見られなくなった。
長台詞の作品、コンビのクラウニング、ジャグリングコメディ、歌やパントマイム、様々なスキルとアイディアが並ぶ。クラウンのコメディは本当に多彩だ。
参加者は、それぞれの稽古に集中しながらも、オープニングアクトやエンディング、フィナーレと、全員でのダンスやスキルディスプレイなどの全体振付もあり、相当に神経をすり減らしたはずだ。
それでも、稽古場では「できない」「ムリ」というような言葉や態度は一度たりとも現れなかった。(そんな時間も無かったけれどー)いつの間にか、円滑なチームワークができあがっていた。稽古場の管理や積込、ダンスのカウント、振付の確認など、自分たちで解決しようという「自律」が生まれていた。
本番までの時間は決して充分ではなかったけれど、その中で参加者は確実に「表現する」自分とチームを育てていた。そうして臨んだ本番ーそれぞれに課題をクリアーしていく参加者は、まるで巣から飛び立つ鳥のようだった。
終演後の参加者は、オーディションの時とは別人だった。
「ああ、ここまで来てしまったー」
そう、もう戻れない。知ってしまったら知らなかった自分には戻れない。
ただ、前に進むしかない。
君たちは扉を開けてしまったのだー。
コメディアートフェスタ2026は終演した、けれど、創作の冒険は、今、始まった。
