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独り占めできない温かさ 支援高校でのジャグリング・ワークショップ


歓声が教室に響き渡った

最後のワークショップで高校生たちが見せてくれたのは
驚きのスキルディスプレイ(ジャグリング・ショー)だった

たった3回の(しかも1回45分間)指導で、高校生たちは見事に作品を自分たちのものにしていた

そこは支援高校…彼らの日常には他者のサポートが不可欠だ
それをよく理解している彼らは、日本人の「普通」の反応に近づこうとしているように見えた
周囲の大人の言う事に素直に応答する姿はむしろ「良い子」すぎるほどー
それが彼らが自分を守る術なのだろう

だから、ジャグリングの時間はできるだけ「発散」して欲しかった
「普通」に近づくのではなく、自分らしく表現する彼らを見たかった

大人よりもできるコトがある
シンプルな運動を重ねる事で、普通の人が出来ない事を可能にする力が自分にある
そんな体験を感じ取って欲しかった

1回目にクラウンショーを観てもらい、ジャグリングの簡単な説明を行い、
2回目に各学年ごとに振付をし
3回目にブラッシュアップ、各学年がお互いのショーを見る、ショータイムを行うーという流れだった。
(本番は2月にステージで観覧者の前で行うらしい…ガンバレ!)

このワークには、セサミのクラウンスクール生も参加し、高校生たちの練習に丁寧に付き添ってくれた

1日で45分で3学年に連続で異なる振付をするのは、なかなか集中力がいったけれど
セサミ生の協力や先生方の献身的なフォローアップ、そして何より高校生たちの元気が
振付の最後までたどり着くパワーをくれた

3回目の最終日に、お互いのショーを観ることになった
この時点まで、クラウン生はどんなショーになっているか全く知らず、高校生たちも、他の学年の通し稽古を見るのは初めてだった
固い表情を見せる高校生たちー
その緊張する様子も素直で、クラウン達もぎゅっと手を握り合って見守った

1年生はとにかく元気なジャグリングショー
ジャグリングを始めると、客席から「おぉ~」と、どよめきがー
そんな観客の素直な反応が引き起こしたのか、1年生たちの間から掛け声があがりはじめた
教師が教えられないことを、観客は教えてくれる
彼らの素直さは最大の武器だ
最後のポーズで客席からは歓声と大きな拍手
とても自然な反応で、胸が熱くなる

2年生は「それぞれの日常」というタイトルで、見知らぬ他人同士がひと時一緒にジャグリングし、また日常に帰っていくーというテーマを持たせた
生徒たちは思い思いに「誰か」になって登場してくる
そうして、一緒にジャグリングし、別れる時は見知らぬ相手とアイコンタクトして退場していく
それは、クラウン生たちのココロに響く作品になっていた

ラストの3年生は、不良たちのたまり場で繰り広げられる乱闘が、いつしかジャグリングショーになり、最後は全員でYA!(やったぜ!)と終わっていくもの
若さが爆発するような勢いがあって、素晴らしかった
不良の演技も楽し気で、ジャグリングの技の安定感もさすがの3年生!

講師が一番感心したのは、ショーそのものはもちろんのコト、お互いを観る、その態度だった
とにかく、応援と拍手、歓声が素晴らしいのだ
パフォーマーは観客に育てられる
そういう生徒たちのココロを育てているのは間違いなく日々の先生方の腕前といえる

この日のような経験をさせたいとお声がけいただけたのも納得だ
ここまでのおぜん立ては簡単ではなかったはずで、それを叶えてくださった献身と情熱に
深く感謝したい

クラウン生たちにとっても鮮烈で深い学びとなった今回
参加して本当に良かった、と、全員が喜びにあふれていた

最後に生徒の皆さんから手作りの花束と、小さなクラウンシューズのキーホルダーをいただいた
ものすごくかわいくって、とっても嬉しい!
ジャグリングはとっても上手だった生徒さん
最後の感謝のコトバは声が喉に詰まり、緊張もあってなかなか先に進めない
でも、誰もそれを責めたり追い立てたりしない
待てばいいだけだ
(最後はちゃんと挨拶もできたもんね!)

世の中が、彼らをしっかり受け止めていける、そんな時代であって欲しい
サポートを受けることは彼らの権利であることを
助けを必要とすることは「恥」ではないと、誰もが思える世界を
私たちは作っていかなくてはならない

いちクラウンでしかない私にできることは多くはない
でも、諦めるには早すぎる
クラウンの世界から発信できる方法がきっとあるに違いない
だって この体験は 独り占めするには温かすぎる・・・

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